SQFポンプを活用した「アキュイン」で世界の水環境の改善に貢献したい

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要旨

静岡県浜松市、市街地のほど近くに位置する佐鳴湖。 円周約6kmほどの湖岸は緑豊かな公園として整備され、 散歩やジョギングなどを楽しむ人が集う、市民に愛される自然湖です。 ただ、かつてはワカサギ漁やシジミ採りで賑わった湖も、次第に水質汚濁問題が深刻化。 「美しい湖を取り戻そう」という人々の決意から生まれた浄水装置アキュインで、 グルンドフォスのSQFポンプが活躍しています。


湖への愛情がスタート地点に

「佐鳴湖の水質汚濁について真剣に考え始めたのは、1994年頃のことです。当時、佐鳴湖は汚染が進み、その汚濁度は全国ワースト3に入ると言われていました」

そう話すのは、株式会社アキュインの今井正生さん。もともとは東京で別の事業を営んでいましたが、会社を畳んだのを機に、仕事仲間が多かった浜松に移住。生活を重ねるうち、佐鳴湖が浜松市民に深く愛されていることを知り、興味を引かれるようになったと言います。「佐鳴湖は元々は淡水湖ですが、浜名湖の水が流入することによって汽水湖の性質も併せ持つようになった、全国的にも珍しい湖です。汚濁が進む前は、シジミやワカサギ、アサリ、それにコイやハゼなどさまざまな魚が生息し、漁業で賑わっていたんですよ」

どうしたら水質を改善できるのか ――自治体や行政に尋ねてみても、なかなか実のある回答が得られません。「こうなったら、自分たちの力できれいにしよう」そう決意した今井さんと友人たちはまず、天竜川河川敷の砂利を使って砂濾過を試みます。自作した装置は、大きさの異なる砂利をレイヤーにした、極めてシンプルな原理の濾過装置。早速実験してみると、汚濁した水はまるで魔法をかけたかのように透明になり、煮沸して飲んでみると、まろやかで甘みのある味わいでした。とは言え、一回一回水を汲み、濾過装置を通すのは効率が悪く、実用的ではありません。

「そこで次に取り組んだのが、電気分解です」と今井さん。固液分離させることで汚染物質を取り除き、きれいな水を取り出す方法です。「試してみると、水はたちまちきれいになりました。これはいけるぞ、と思ったのも束の間、水質を調べてみたところ、電気分解した水は組成が変わってしまうことが分かったのです」

組成が変わった水は、もはや佐鳴湖の水とは言えません。環境を不自然に変えてしまう方法は取りたくないと思っていた今井さんたちは、諦めざるを得ませんでした。暗澹たる気持ちで片付けをしていた時、ふと一つのアイデアが浮かびます。それまでにも何度か試してみたことのある、活性炭を通す方法と、電荷変換とを組み合わせる方法です。

「活性炭を通すだけでは水はきれいになりませんが、まず原水に電荷を与え、水の組成が変わる前段階で活性炭に通すことで、何らかの結果が得られないかと思ったのです」

結果は大成功。「ビーカーの中に、ぽとりと一滴の透明な水が落ちてきたときの感動は、忘れられません」と今井さんは振り返ります。

原理は極めてシンプルです。まず原水に電荷を与えることで、水に含まれる汚染成分の化学結合が瞬間的に乖離します。その状態で活性炭水路に流入させると、有害成分が活性炭界面へ吸着し、汚染成分が分離するのです。

この原理をシステム化し、生まれたのが浄水装置「アキュイン」。ほかの浄水システムとは異なるアキュインならではの特長は、活性炭に入れる前の水路に、原水以外は何も入れないことです。浄化剤や薬剤を用いないため環境二次汚染も起きません。海水は海水のまま、淡水は淡水のまま浄化できるこの技術は、2005年に特許権を取得しました(特許3731093)。

 

場所を選ばないアキュインを

制御、配管、機械設計、そして金属加工を得意とする仲間が集い、試行錯誤を重ねた末に生まれたというアキュインですが、今井さんを含め、チーム内に水や化学の専門家がいたわけではありません。思いついたことをまずやってみて、その結果の現象を追って書籍やネットで「理論」を調べる。その繰り返しの中で原理を理解し、装置に組み込んでいくことの積み重ねでした。根気を要する作業のモチベーションになったのが、世界中の水環境の改善に寄与したい、という強い思いでした。

「きっかけは佐鳴湖ですが、世界中の水に恵まれない地域について知識を得るにつれ、現状を打開するために少しでも自分の力を役立てたいと思うようになりました」

そう話す今井さん。高濃度の汚染水を飲料水化するアキュインオアシスや、産業系廃水と汚染自然水系に対して浄化するアキュインプラントなど、アキュインをさまざまな形に発展させ、活用領域を膨らませています。その中のひとつ、交通インフラが整っていない場面で運用できるようにと考えたのが、乗用車にアキュインを搭載し、ニーズに応じてどこにでも赴ける形態にした、アキュイン・レスキュービークルです。

「地球上には今も、不衛生な水のために亡くなる子どもたちがたくさんいます。また、安全な水が確保できずに不衛生な環境で病気に苦しむ人や、汚染水を飲んで疾患にかかる人も多い。そんな人々を少しでも助けたい。ならば、どこにでも行ける移動式のアキュインを作ろう――そんな思いでアキュイン・レスキュービークルを考案しました」

採用した車はスズキのジムニーです。今井さん自身が元々ジムニー愛好者だったことに加え、高い走破性と、アキュインを収納するのにサイズがぴったりだったことで決めました。

 

SQフレックスで操作性が向上

アキュイン・レスキュービークルでは、原水を引き上げるためのポンプとして、グルンドフォスのSQフレックスシステムが使われています。しかし完成した当初はこのシステムは使われておらず、装置自体の操作性は非常に低いものでした。

「アキュインとは別に、発電機、ポンプ、そして汲み上げた水を一旦貯めておくためのタンクが必要で、運搬のために車両2台を要していました」

稼働のための設置とプロセスも煩雑でした。まず、一旦100リットルの水をポンプでタンクに吸い上げます。そしてタンクから別ポンプでアキュインに運び、浄化プロセスを経るのですが、発電量が限られていたため連続運転ができず、100リットル溜めるごとに発電機の電源を落とし、充電しなければいけませんでした。SQフレックスシステムの存在を知って、この環境が劇的に変わったのが2012年12月のことです。自然エネルギーの活用を基にしたSQフレックスシステムは、SQFポンプとソーラーパネル(太陽光発電)、コントロールユニットがセットになった給水システムで、連続・断続運転仕様に設計されており、電力供給が不安定な遠隔地での給水や僻地での灌漑などに、高い実績を誇ります。

「まず驚いたのは、そのコンパクトさでした」と笑顔を見せる今井さん。なるべく一台の車両で動かしたいと思っていた今井さんにとって、必要なスペックを満たした上でほとんど場(所をとらないSQFポンプの存在は、まさに福音でした。さらにSQFポンプを直接アキュインにつなぐことで、タンクが不要になります。

「タンク、発電機、インバータが不要になり、一台の車両にオールインワンで収まるようになったことで、圧倒的な気軽さと発展性を得られました」

魅力を感じた2つ目の点が、低電力で動くことでした。採用したSQFポンプ1.2-2は、5mの高さであれば、100ワットの出力で毎分10リットル給水することが可能です。アキュイン・レスキュービークルでは、車両のルーフに70ワットを出力できるソーラーパネルを3枚搭載(パネルは別メーカーを使用)。あわせて210ワットの電力を発電することで、目標値とする毎分2.8リットルの給水を実現しています。

「稼働させるには、アキュインにつないだSQFポンプを原水に入れ、コントロールユニットをONにするだけ。設置の手間が段違いに減ったことで、商品としての価値が高まりました。何より稼働力が向上したことで、世界の水不足の地域に赴くという目標に近づいたことが、本当に嬉しいですね」

 

新たな可能性へ

アキュイン・レスキュービークルは、これまでに防災管理危機展での展示でお披露目され、高い評価を得てきました。また、子どもたちへの総合学習でも活躍。薬剤処理や逆浸透膜での処理と違い、汚染水をまったく排出することなく浄水できるシステムのため、環境教育にはもってこいの教材です。

今後の課題は、電力供給の効率をより一層上げることだと今井さんは言います。現在、ソーラーパネルでの発電はSQFポンプを動かすのには充分ですが、アキュイン本体に送電する必要があるため、トータルで少し不足しています。また、曇天時にも動かせるよう、ソーラー、エンジン、発電機の3電源方式を採用し、24時間稼働できるようになっています。しかし本格的に発展途上国で活用するためには、電源をソーラーだけにして、メンテナンスフリーにすることが大切だと今井さんは考えています。

「東日本大震災以降、日本国内での防災意識は日々高まっていますし、世界で安全・安心な水を必要としている場所は本当に多い。アキュイン・レスキュービークルは、これから多くの場所で必要とされると思います。今後は、自動車メーカーと連携して、パワートレインをより適したものにバージョンアップするなど、新しい一歩を踏み出したいですね。モットーは“安全な水を いつでも どこでもだれにでも”。世界の水環境の改善に直接貢献できる日も近いという思いで、ワクワクしています」

SQフレックスシステムによって、コンパクトで機能的になったアキュイン・レスキュービークル。今井さんの夢と共に、これからの可能性は無限に広がっているようです。

 





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主題:

SQFポンプを活用した「アキュイン」で世界の水環境の改善に貢献したい

場所:

日本

会社名:

株式会社アキュイン

AQUIN

株式会社アキュイン

AQUIN
AQUIN

株式会社アキュイン
代表取締役
今井 正生さん

AQUIN

SQFポンプを原水(汚染水)の中に入れ、コントロールユニットをONにするとスタート

AQUIN

わずかな時間で、原水は飲料水となって蛇口から排出される

AQUIN

アキュイン・レスキュービークルのパース。ルーフには70ワットの発電が可能なソーラーパネルを3枚搭載。SQFポンプをつないでアキュイン本体の左下の部分から原水を流入させ、右端の蛇口から飲料水となって出る仕組み。
※アキュイン(AQUIN)は、電荷変換水路・CFT(Charge Force Transfer)と還元吸着水路および制御装置からなる、高濃度汚染水の飲料水化まで可能な浄水装置。その技術の総称をアキュインと呼ぶ。

 

PROJECT
納 入 先 : 株式会社アキュイン
導入開始 : 2012年12月
導入製品 : SQFポンプ1.2-2
        コントロールユニット CU200
用 途     : 浄水装置における原水の 給水・配水

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